冬季オリンピックも終盤になりました。競技の種目が増えるだけでなく、各競技の記録も年々塗り替えられて行きます。極限状態でさらに記録を塗り替えるためには、たゆまない鍛錬だけでなく、練習方法やコンディショニング作りに科学的な手法を取り入れてゆくことが、欠かすことのできない要素です。
スポーツ栄養医学の進歩も記録の更新に大きな役割を果たしています。 スケート競技で金メダルに輝いた小平奈緒選手が、強化期間中にビタミンD摂取を採用していたことが新聞記事になっていました。
ビタミンDは、10年ほど前から注目されている重要な栄養素であり、特に筋肉のパフォーマンスを高めるために欠かすことのできないものですが、日本ではまだまだ認知度が低いようです。
ビタミンDは、その名前にある「ビタミン」というよりも、「ステロイドホルモン」と呼ぶにふさわしい栄養素です。紫外線によって皮膚で作られますが、食品では鮭などの魚類からの補充が可能です。日に当たらない、魚を食べない生活習慣では必然的にビタミンDは欠乏してしまいます。
その働きは、骨を作るだけでなく、免疫力の調整、動脈硬化予防、精神疾患の予防など多岐に渡りますので、欠乏状態は健康状態にとって大きなマイナスとなってしまいます。 ビタミンDはカルシウム代謝の調整を行いますので、十分なビタミンD濃度が維持されていれば、それだけ筋肉のパフォーマンスが上昇することが知られています。
こうした観点からすると、小平選手のサポートチームが、強化期間中にビタミンDの効能に着眼したことは、極めて意義のあることだったと思います。 スポーツ栄養医学の知識は、一般人が健康を維持する上でも、有益なものが数多くあります。オリンピック強化委員の杉田先生が座長を務める、コンディショニング研究会のような機関からの情報にもアクセスされることをお勧めします。