しかしこうした懸念を払拭するような論文が米国から発表されました。 この研究の結論は、激しいコンタクトスポーツを行なっていた選手が、後々脳機能障害などを起こす確率は高くならないというものでした。反対にうつ病や自殺率など、精神疾患を発症する率が少ない傾向にあることが、調査の結果明らかにされています。健全な精神は健康な肉体に宿ることを医学的に確認したとも言えます。
当院外来では、初診時検査で筋肉や脂肪の分布を調べる体組成検査を行なっています。これは加齢に伴い、筋肉量が減少する「サルコペニア」と呼ばれる現象が起きるため、四肢や体幹部の筋肉量を測定する目的で行います。この検査から言えることは、60歳以上の高齢者でも、若い時に体を鍛えていた方では、筋肉量が十分に維持されているケースが多いことです。水泳やラグビーなど全身の筋肉を鍛えるような運動の場合には、この傾向が顕著であるようです。
健康長寿のためにも、若い世代の方にはスポーツを通して、心身ともに健康を維持するための基礎作りをしていただきたいと思います。