血中のビタミンD濃度が 30 ng/ml未満であるとビタミンD不足状態、20 ng/ml未満はビタミンD欠乏状態とされています。約1700名を調べた当院の外来データでは、初診時の患者様の約8割がビタミンD不足状態であることが確認されています。これは当院だけでなく、他の医療機関でもほぼ同様の傾向が見られています。
ビタミンDの血中濃度測定は、昨年秋より保険適用になりましたので、一度は調べてもらうことをお勧めします。 ビタミンD不足状態は、その本人だけでなく次世代に対しても大きな影響を与えてしまいます。
母乳栄養が良い不足ということで、市販の粉ミルクを使わずに母乳栄養のみで育てられた乳児では、血液中のビタミンD濃度が 10 ng/ml程度に過ぎないというショッキングな報告があります。
さらに2005年から10年間にわたる研究では、小児の骨軟化症の割合が2.5倍も増加していることが報告されています。原因は言うまでもなく小児に起きているビタミンD不足にあります。
ビタミンD不足状態に対して警鐘が鳴らされたのは、欧米の研究機関からでした。米国では、現代人がビタミンD不足状態にあることを指摘した論文が2007年に発表され話題になっています。最近報告された英国からの論文では、小麦粉にビタミンDを添加することによって、1000万人以上のビタミンD欠乏の患者の発生を予防できると述べています。
欧米では、ビタミンDを添加したミルクやオレンジジュースが市販されていますが、日本ではこうした製品の発売は認可されていません。 現代の疫病とも言えるビタミンD不足。この状態を改善することは、日本の次世代の健康を守るためにも極めて重要です。