COVID-19の話題にも疲れてきた頃ですので、今週は閑話休題、ストレス発散、飲酒のお話です。
飲酒と健康については、様々な議論が有史以来続いています。全く飲めない下戸の方からすると、飲酒の弊害とはご縁がないので、ラッキーと思う一方、飲酒の恩恵に預かることができないことは、少々寂しいことかもしれません。
反対にいくらでも飲める上戸の方にとっては、飲酒量や頻度をコントロールすることが、なかなか難しいことであり、適量で我慢することができないという悩みがあります。さらにお酒によるトラブルに巻き込まれる確率が、上がってしまうこともリスクの一つです。
本日ご紹介する最新研究は、適量の飲酒は認知力をサポートするには良い方法かもしれないという内容です。この研究では、約2万人を対象に、約9年間にわたり調査を行なっています。対象者の平均年齢は61.8歳。約60%が女性、85.2%が白人でした。
その結果、適量の飲酒の習慣がある対象者は、全く飲酒をしない対象者と比較して、認知機能の低下のスピードが遅かったことがわかりました。さらに言語能力、記憶力、など様々な脳の機能について調べていますが、いずれの検査でも、適量の飲酒を行う習慣のある対象の方が、全く飲酒をしない対象者よりも成績が良い傾向がありました。
適量の飲酒とは、女性の場合、週に8ドリンク未満、男性では15ドリンク未満と定義されています。1ドリンクとは、14gのアルコールをさします(米国の場合)ので、アルコール度数7%のビールであれば200ml、ワインであれば約100mlに相当します。
この研究では、対象者のほとんどが白人です。白人はアルコールを代謝する酵素を保有する率が高い民族としても知られています。逆に日本人の場合には、この酵素を保有している割合が世界で最も低い民族です。このため、この研究結果がそのまま我々日本人にも適応されるとは限りませんが、お酒が飲める上戸の方にとっては、嬉しい研究報告かもしれません。