血中ビタミンD濃度が高いほど、新型コロナウィルス感染率が下がることが、
ボストン大学教授であるホーリック医師らの最新研究によって明らかにされました。
ホーリック博士(ボストン大学教授)は、Dr.ビタミンDとしても知られており、ビタミンD研究の草分的な医師です。
私も15年ほど前、米国の学会に参加した時、彼の講演を拝聴したことがあります。
この研究は、米国50州に在住している約19万人を対象に、2020年3月中旬から6月中旬までの期間に新型コロナウィルスの検査(PCR検査)結果について調べた大がかりなものです。血中ビタミンD濃度は、PCR検査を行った時期から1年以内に調べられたものを採用しています。
検査対象者の平均年齢は54歳、女性が68%。PCR検査陽性率は9.3%でした。血中ビタミンD濃度とPCR検査陽性率との関係について調べたところ、ビタミンD濃度が高くなるほど、PCR陽性率は低下する傾向が見られました(上図)。
さらに、ビタミンD濃度によってグループ分けしたところ、血中濃度が55 ng/ml 以上と最も高い群では、欠乏群とされる20 ng/ml未満の群と比較して、PCR陽性率がほぼ半分に低下していることがわかりました。(下図参照)
新型コロナウィルスに対する、ワクチンや特効薬が未だ開発されていない現時点で、最も確実に新型コロナウィルス感染を防ぐことができる手段の一つは、血中ビタミンD濃度を十分にあげておくことではないかと、Holick医師らは述べています。
秋分を過ぎれば、日が沈むのはつるべ落としのように早くなると言われているように、日照時間が短くなります。それに伴い我々自身の血中ビタミンD濃度も下がり始めます。新型コロナウィルスの次の波が来る前に、積極的にビタミンDをサプリメントで補うことをお勧めします。成人の場合には、最低でも1日あたり2000 IU(50 μg)の摂取が必要です。
SARS-CoV-2 positivity rates associated with circulating 25-hydroxyvitamin D levels.
PLoS One. 2020 Sep 17;15(9):e0239252.