4月11日(日)にWeb講演で30分ほどのお話をします。テーマは「フラクタル解析の可能性」。私の講演内容は、次に予定されている、Jibin Chi医師(スウェーデン)の講演の導入になります。
「フラクタル」という言葉をご存知でしょうか。これは1970年代に数学者、ブノア・マンデルブロによって提唱された概念です。語源はラテン語のFractusまたはFractionから由来すると言われ、「分数」「細かくされたもの」という意味と定義されています。
フラクタルは我々の周囲に数多く存在する現象です。上の写真のロマネスコはブロッコリーの一種ですが、その細部を見ると全体と同じ構造をしています。フラクタルとは、「部分は全体を表す、自己相似性」を数学的に解説する手段とも言えます。
数学の難しいお話は苦手と言われそうですが、フラクタルと我々の生活とは深い関係があります。マンデルブロの提唱した概念は、コンピューター技術の進歩によって急速に広がり、1980年初頭にはコンピューターグラフィックスとして発展し、現在に至っています。SF映画やコンピュータゲームでよく見かける映像には、フラクタルの技術が反映されています。
マンデルブロは次のように述べています、
「雲は球ではないし、山は円錐ではない。海岸線は円ではないし、木の皮は滑らかではないし、稲妻は直線には走らない」
すなわち、フラクタルとは、図形の複雑さを定量化する手法とも言えます。
こうした技術は医学の領域でも応用が始まっています。一つの例としては、放射線診断や細胞病理学的な診断における活用があります。ガン細胞の場合には、その悪性度が高まるにつれてフラクタル次元が大きくなることが確認されています。今後は脳神経や眼科の領域にも、この技術は応用されることが期待されています。
Jibin Chi医師の講演のテーマは、心電図におけるRR間隔のゆらぎをフラクタル解析した技術についてです。RR間隔とは「心室興奮から次の心室興奮までの時間」、つまりドキ、ドキという、心臓が収縮するごとの時間差を表します。RR感覚の変化から全身状態を読み解こうとする新しい領域です。
日曜日の午前中という貴重な時間帯ですが、皆様のご参加をお待ちしております。下記よりエントリーができます。