先週に引き続き、ビタミンDサプリメントについてのQ&Aについてお伝えします。
(4) 医薬品のビタミンD製剤ではダメなのか
医薬品のビタミンD製剤は活性型のビタミンDであり、サプリメントのビタミンDとは異なる成分です。さらに医薬品のビタミンDは活性型であるため、高カルシウム血症などの副作用が出現しやすい傾向があります。一方サプリメントのビタミンDは非活性型であるため、ある程度の量を摂取しても顕著な副作用は現れにくいのが特徴です。活性型のビタミンD濃度は <pg/ml > であるのに対して、非活性型ビタミンD濃度は<ng/ml>であり、その差は1000倍もあります。非活性型のビタミンDを補充し、必要に応じて身体の細胞がそれを活性化して利用することの方が、より自然で安全な方法と言えます。
(5) ビタミンDのサプリメントはいつ服用すべきか
ビタミンDは日中紫外線を浴びることによって皮膚で産生されます。このためより自然に近い形でのビタミンD補給をするタイミングは、朝から昼までとなります。まれではありますが、就寝前にビタミンDを服用すると、睡眠の妨げになる場合も起こりえます。ビタミンDのサプリメントは、基本的に毎日補充することが望ましいですが、飲み忘れた時には、2~3日分をまとめて服用しても全く問題はありません。海外では週に一回だけ服用するためのビタミンDサプリメントも販売されています。ある程度は飲み溜めができることは、脂溶性ビタミン剤の利点とも言えます。
(6) ビタミンDサプリメントの過剰摂取のリスクは
サプリメントとしてビタミンDを摂取している場合に、過剰摂取による弊害を経験することは極めて稀です。当院外来でも、毎日25,000IUのビタミンD3を数ヶ月間服用していた症例を経験しています。25(OH)Dの血中濃度は100ng/ml以上に上昇していましたが、健康上全く異常はみられませんでした。副作用は稀であっても、過剰に摂取することのメリットは全くありませんので、血液濃度を確認しながら適正量のビタミンDを摂取することをお勧めします。
(7) ビタミンDサプリメントの市販価格は
ビタミンD3の市場価格には幅があり、毎日2000IUを服用した場合の1ヶ月あたりのコストは、200円から4000円程度と20倍もの開きがあります。価格による製品品質の優劣については、情報が無いため言及することはできません。サプリメントのビタミンD3製剤の原料は、ほとんどが羊毛から取れるラノリンという脂質です。羊毛はほぼ無尽蔵に採取できるため、ラノリンの原価は安価であり、そのためビタミンDのサプリメントはビタミン単品製剤の中では最も安価なものです。これはという製品を選び、一定期間服用したのち血中濃度でビタミンDが上昇することを確認することが最も確実な方法です。