COVID-19感染や世界情勢など、心を病みやすい環境が続いています。心を強く保つためにも、日々の食生活には十分に気をつけたいものです。中でも魚脂に含まれるEPAやDHAには、うつ病予防作用が期待できることが報告されています。
「うつ」の症状は様々な原因で生まれます。その一つに脳の炎症があります。風邪気味になるとなんとなくうつっぽい気分になるのは、脳細胞に軽い炎症反応が起きているためとされています。この意味で、ウィルスがうつ病の一つの原因とも言えます。
脳の炎症を抑えるにはどうしたら良いのでしょうか。一般的には抗炎症剤として知られる医薬品が使われますが、医薬品が苦手の方には、ビタミンCなどの抗炎症作用のある栄養素を多めに摂ることが勧められています。魚脂に含まれるEPAやDHAには、炎症を防ぐ働きがあるため、これらを日頃から積極的に補充することがうつ病の予防になると考えられています。
近年の研究では、魚脂がうつ病予防だけでなく、治療としても効果がある可能性が報告されています。この研究は、うつ病患者22名について、EPA 3g/dayとDHA1.4 g/dayを12週間服用した結果について調べています。 その結果、EPAとEHAを服用した患者では、血液中の抗炎症作用を持つ成分が増えており、うつ様の症状も軽快していたことがわかりました。
自分自身が十分な魚を食べているのか否かを知るには、血液中の脂肪酸濃度を調べることで簡単にわかります。またオメガ6脂肪酸の1種であるアラキドン酸とオメガ3脂肪酸であるEPAとの比率を知ることも、普段の食生活の傾向を知る上で便利な指標です。EPA、DHAを十分に補給して、この時代を元気に乗り越えたいものです。