ビタミンDとCOVID-19 : 最新情報

新型コロナ感染患者数も減少傾向にあり、世界の動向を見てもパンデミックの波が、ようやく終息に向かっているように思われます。こうした中でパンデミック中に行われた研究の結果も次々と報告されています。中でもビタミンDとCOVID-19感染の重症化するリスクとの関係については数多くあり、つい最近では日本の研究機関からも、ビタミンD濃度が低いと重症化しやすいという研究論文が、日本では初めて報告されています。

この研究では、2020年10月から翌年の1月末までに神戸市民病院に入院した117名のCOVID-19患者について調べています。入院後に血中ビタミンD濃度測定を行い、濃度によって以下のように群分けをし、COVID-19患者の重症化との関係について解析しています。重症化とは、人工呼吸器が必要になったケースと死亡に至ったケースをさします。

ビタミンD濃度別に見た患者数

その結果、下図に示すように血中ビタミンD濃度が高いほど、COVID-19患者において、酸素療法や重症化する割合が少ないことが明らかにされました。

(A)は酸素療法を必要とした患者の割合、(B)は重症化した患者の割合を示します。横軸には血中ビタミンD濃度が示されています。どちらのケースでもビタミンD濃度が高いほど、酸素療法を必要とした割合や重症化する割合が低いことがわかります。この傾向は統計学的に有意なものでした。

残念ながら、日本では、ビタミンDの重要性について広く知られていないのが現状です。今回の研究では、ビタミンD濃度が10 ng/nL未満という極端な欠乏状態では、重症化する割合が30%もありましたが、30 ng/mL以上の患者では重症化例は1例も見られませんでした。

つい最近発表されたカナダからの報告でも、ビタミンDを補うことがCOVID-19患者の重症化を大きく防ぐことが報告されていました。この研究によれば、ビタミンDをサプリメントとして補充している場合、集中治療室に入室するリスクは、ほぼ35%にまで減少するということです。

当院外来データ(トップ画面の図)からすると、日本人の血中ビタミンD濃度の平均値は24 ng/mL程度と考えられます。30ng/mL以上の方の割合はわずか20%ほどです。免疫力を維持強化するためにも、日頃からビタミンDの補充を行なうことは、感染症だけでなく、様々な疾患の予防になります。

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