抗酸化物質を摂取することは、認知症予防にとって欠かすことのできない生活習慣です。抗酸化物質には、ビタミンCのような水溶性のものと、カロテン(またはカロチン)やビタミンEのように脂溶性のものに大別されます。
カロテンの名前は「ニンジン:carrot」に由来するように、その橙色が特色です。ニンジン以外では、サツマイモ、マスクメロン、卵黄などに含まれ、脂肪組織が黄色に見える理由もカロテンが貯蔵されているためです。
最新の研究では、脂溶性ビタミンの代表とも言えるカロテンの血中濃度が高いほど、認知症になりにくい傾向があることが明らかにされています。対象となったカロテンは、ルテイン、ゼアキサンチン、ベータクリプトキサンの3種類です。
この研究では、45歳以上の約7000名の男女を対象に、平均17年間経過観察を行い血中カロテンの濃度と認知症の発症頻度について調べています。その結果、65歳以上の対象についてみると、ルテインとゼアキサンチンを合わせた濃度が15.4 μM/L上昇すると認知症リスクが7%減少し、クリプトキサンチン濃度が8.6μM/L上昇すると認知症リスクが14%減少することが明らかにされました。
ニンジンなどカロテンを多く含む野菜類を積極的に食べている人は意外と少ないかもしれません。特に外食が多い若年層にこの傾向が強いようです。カロテンは脂溶性であるため、炒め物料理にすることやサラダドレッシングを活用することで吸収率が高まります。認知症予防のためにも、カロテンを積極的に取りたいものです。