ジャガイモを食べると太るのではないかという都市伝説があります。しかし最新の研究によれば、ジャガイモを食べることによって、むしろ体重を減らすことができたということです。この研究では、じゃがいもを食べる群と豆類を中心に食べる群とに分けて2ヶ月後の血糖値や体重の変化について調べています。
その結果、それぞれの群で血糖値には変化がありませんでしたが、どちらの群でもインスリンの抵抗性の改善と体重の減少が見られました。興味深いことは、豆中心の群よりもじゃがいもを多く取り入れた食事の群の方で、体重減少が大きかったことです。(下図参照)この研究のじゃがいもの食べ方ですが、フライドポテトのように揚げたものではなく、皮ごと茹でてから冷蔵保存したシンプルな調理加工したものとなっています。
じゃがいもには、健康にとってメリットのある数多くの成分が含まれます。代表的な栄養素として、ビタミンC、ビタミンB6、カリウム、マグネシウム、コリンなどがあるほか、食物繊維も多く含まれます。じゃがいもに含まれるビタミンCは加熱に強く壊れにくいとされています。ビタミンB6は体内の100以上の酵素を助ける働きをしており、中でも重要なものは、セロトニンからメラトニンを作り出す経路に欠かすことのできない働きをしていることがあげられます。
ストレスの多い方はカリウムやマグネシウムが体内から失われやすいので、じゃがいも摂取によってこれらのミネラルの補充が可能です。脳神経や筋肉の働きを維持するために欠かすことのできない栄養素のコリンが、じゃがいもに多く含まれていることは意外と知られていません。またじゃがいもに含まれる澱粉は、レジスタントスターチと呼ばれるように、血糖値の上昇が緩やかになる特徴があります。また腸内細菌叢を理想的な状態に保つ働きもあり、酪酸などの短鎖脂肪酸を産生する細菌類を増やすことが期待できます。
南アメリカから輸入されたじゃがいもを食べるようになってから、イギリスの人口が大幅に増えたと言われています。貴重な栄養素を多く含むじゃがいもを日常食の中に取り入れたいものです。