緑茶で痩せるという効能を謳った商品も市場にはありますが、最新の研究でも、緑茶の成分に脂肪燃焼効果があることが明らかにされています。
この研究では、運動不足の28名の肥満女性(BMI=約32)を14名ずつの2群に分け、エピガロカテキンガレート(EGCG)を含む緑茶エキスを60日間に渡り服用した群と緑茶エキスを含まないものを服用した対照群とを比較しています。服用群と対照群の内訳は以下のようでした。
その結果、緑茶エキスを服用した群では、呼吸商が有意に減少し、脂肪がより代謝されやすい体質に変化していました。呼吸商とは、エネルギー源として、炭水化物を燃焼させているか、脂肪を燃焼させているかを人間の吐く息を分析して確認できる検査です。呼吸商の値が減少したことは、脂肪燃焼の割合が増えたことを意味します。(下図左)また、安静時の基礎代謝量も、緑茶エキス服用群で有意に上昇していました。(下図右)これら二つの現象から、緑茶エキスを飲むことで、脂肪燃焼が促進していることがわかります。
さらに緑茶エキス群では、空腹時のインスリン値が低下、インスリン抵抗性の指標であるHOMA指数の低下も見られました。インスリンは老化を進めるホルモンであり、空腹時のインスリン値は低い方がより健康とされています。さらにHOMA指数とは、インスリンが効率的に働いているか否かを知るための指標で、これが低下することはより健康な状態になっていることを意味します。また緑茶エキス群では、炎症のマーカーであるCRPにも改善が見られました。
これらの結果は、60日間の緑茶エキス摂取が、肥満した閉経女性の脂肪組織の機能不全を改善することを示しています。この研究では、サプリメントの形で緑茶エキスを服用していますが、抹茶などを飲用することでも同様の効果が期待できます。緑茶の効用が科学的に証明された研究の一つです。