9月10日に行われましたビタミンDのWeb講演会は、300名ほどの参加者が集まり、大好評のうちに終了しました。講師の浦島充佳教授とMichael Holick教授の講演内容は、ビタミンD摂取によりがんの死亡率を下げることをわかりやすく説明されていました。参加された医師の方々からも、初めて知った貴重な情報という感想が多く寄せられていました。Holick先生が2007年に医学雑誌の総説で、現代人はビタミンD不足と述べられてから16年が経過しています。日本ではまだまだビタミンDの重要性についての認識が広がっていないことを痛感しました。
本日ご紹介する論文もビタミンDの効用についてです。ビタミンDをサプリメントとして摂取していると過活動膀胱になりにくいという内容です。過活動膀胱とは、尿失禁や排尿のトラブルを起こす高齢者では比較的一般的な症状でもありますが、治療や予防が困難であることが知られています。
この研究は、13件の論文を解析した結果、ビタミンD濃度が高いほど過活動膀胱や尿失禁のリスクが低いという関係が明らかにされました。ビタミンD欠乏があると過活動膀胱になるリスクが4.5倍に増えることが確認されています。また、治療としてビタミンDのサプリメントを使用した場合には、尿失禁のリスクが66%減少したこともわかりました。
ビタミンD血中濃度は高齢者になると低下することが知られています。この理由には、食事摂取量の減少や皮膚で作られるビタミンDの減少などがあるとされています。先日の講演会でも、Holick先生は1日あたり6,000 IUのビタミンDを摂取しているというお話しでした。私自身も毎日5,000 IUのビタミンDを摂取しています。
秋のお彼岸を過ぎると、日照時間の減少とともに体内のビタミンDも減少を始めます。積極的なビタミンDの補充をすることをお勧めします。