コエンザイムQ10は強力な抗酸化物質であり、ミトコンドリアでのエネルギー産生において重要な働きをしています。しかし加齢に伴い、細胞内で作られるコエンザイムQ10は減少傾向にあり、これが様々な病気の原因の一つと考えられています。
最新の研究では、CoQ10をサプリメントとして補充することが、肝機能障害を改善する働きがあるということです。この研究は、15本の論文を精査したメタアナリシスによるもので、コエンザイムQ10(CoQ10)は、肝臓の酵素の働きを示す、次の3つの値を改善することを明らかにしています。
- アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT、GPT)
- アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST、GOT)
- ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT、γGTP)
対象は、冠動脈性心疾患、I型またはII型糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、肝酵素上昇などの疾患を有する男女、712人。CoQ10の摂取量は、1日あたり100〜400mgでした。CoQ10の補充は、肝機能に何らかの有益な効果をもたらすことが期待されます。
加齢に伴うCOQ10の減少は、心臓や腎臓で大きなものですが、肝臓での減少は、80歳時でも20%程度の減少に過ぎません。(下図参照)今回の研究では、心疾患や高脂血症など何らかの疾患を持った患者を対象としていますので、こうした場合にはCOQ10を補充することは肝臓にとっても大きな意味を持つものと言えます。
COQ10は、食品ではイワシなどの小魚類に多く含まれます。こうした食品が苦手な人は、サプリメントの形で、1日あたり100 mg 以上を摂取することをお勧めします。