ビタミンB12で炎症予防

ビタミンB12は多くの細胞代謝に関与する必須栄養素の一つです。その欠乏は神経疾患や血液疾患など様々な障害を引き起こします。

ビタミンB12に抗炎症作用があることは知られていますが、そのメカニズムはまだ完全には解明されていませんでした。しかし最新の研究では、血中ビタミンB12濃度と炎症マーカーであるインターロイキン(IL)-6および炎症マーカーであるCRPとの関係が明らかにされています。

この研究では、心血管リスクの高い集団から採取した136のヒトサンプルを用いて、ビタミンB12の血中濃度とIL-6およびCRPとの関連を調べています。ヒトでの試験結果を裏づけるため、老化モデルのマウスでの解析も合わせて行っています。

その結果、ビタミンB12の血中濃度が高い個体では、IL-6とCRPの濃度が低いことがわかりました。また、老化モデルマウスにおいても、血清IL-6とビタミンB12濃度との間に逆相関が認められました。すなわち、ビタミンB12濃度が高いほど炎症疾患を起こしにくい可能性があります。

痛みを訴えて病院にゆくと出てくる定番の処方薬が、メチコバールと呼ばれるビタミンB12です。このビタミンは水溶性ビタミンですが、他のビタミンB群と異なり、胃壁から分泌される内因子と呼ばれる成分がないと効率的に吸収できません。加齢に伴い胃壁の粘膜が萎縮してくると、この内因子の分泌量も低下してきますので当然の結果としてビタミンB12の吸収量も減少してしまいます。このため高齢者においては、ビタミンB12の最も効率的な補給方法は注射によるものと考えられています。

ビタミンB12を多く含む食品の代表は、しじみなどの貝類とレバー、動物由来でない場合には、海苔などの海藻類になります。高齢者では吸収率が下がっていることも考えて多めに食べることも、ビタミンB12を補給する手段としては有効と考えます。炎症予防のためにB12の補給を忘れずに。

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