運動は2型糖尿病の治療、予防において重要な役割を果たすだけでなく、健康な人においてもグルコース代謝の維持に寄与することが知られています。しかし、健康な若年成人における単発の短時間運動がどのような効果があるかについては、これまで十分な検討が行われていませんでした。こうした背景の中、本研究は、30分間の単発の有酸素運動が、若年で活動的な健康成人におけるグルコース代謝に与える影響を初めて系統的に調査したものです。
本研究では、参加者に対して30分間の単発の有酸素運動を行わせ、運動の7日前および運動の24時間後に経口ブドウ糖負荷試験 (OGTT) を実施しました。1時間後の血漿グルコース濃度に加え、インスリン感受性や分泌の代替指標も評価しました。その結果、運動後にはベースラインとブドウ糖負荷1時間後のグルコース濃度がいずれも有意に低下し、インスリン濃度も1時間後に同様の有意な低下が見られました。インスリン感受性はMatsuda指数、OGIS指数、QUICKI指数のすべてで有意に増加し、HOMA-IRは有意に減少しました。これに対し、HOMA-Bは増加傾向を示し、インスリン分泌パターンの改善が示唆されました。
これらの結果から、わずか30分間の単発有酸素運動がインスリン感受性を高めると同時に、インスリン分泌を改善する可能性が示されました。さらに、β細胞の分泌能の変化は、インスリン依存性組織におけるインスリン作用の改善に起因すると考えられます。この研究は、健康な若年成人においても単発の運動が短期的なグルコース代謝に有益な影響を及ぼすことを示しており、糖代謝改善を目的とする運動の重要性を改めて支持するものです。
ようやく涼しくなってきました。スポーツの秋です。一日中座ってテレビを見ている生活が最も危険です。体を動かすことで糖代謝の改善を図りましょう。